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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・立志録 5

晴奈の話、5話目。



いよいよ入門する場面。
しかし……。

思うんですが。
よくTV番組とかで座禅を組まされて、ちょっとでも動いたらバシバシ叩かれるシーン、ありますよね。
あれは本当に、動いてるの分かってるのかと。
もしかしたら適当に叩いてるんじゃないかと。
いや、中には本当に、寝てたり怠けたりする人を戒める場合も十分あるとは思うんですが。
どっちにしても、わずかな動きも許さない、みたいなのは酷じゃないかな、と。

……まあ、本当に目の前で寝てたら、僕だってしばきますがw


5.

 晴奈は簡素な袴姿――いわゆる、剣道着と言うものである――に着替えさせられ、とある堂の中央に座らされた。横には、同じように剣道着姿の柊がいる。

 晴奈たちの前に重蔵が立ち、ゆっくりと試験について説明する。

「まあ、やることは至極簡潔なものじゃ。

 ただ、座禅をしてもらう、それだけじゃ。3時間、そのままじっとする、たったそれだけじゃ。簡単じゃろ?」

「は、はい……」

 晴奈はまだ少し緊張が取れず、恐る恐る答える。そんな晴奈を見て、重蔵はニコニコと笑みを返す。

「はは、そう堅くならんと。

 じゃが、油断してはならんぞ。この堂には、鬼が棲んでおるからのう」

「お、……鬼、ですか?」

 重蔵の言葉に、晴奈は目を丸くした。

「そう、鬼じゃ。試験の内容とは、ただ一つ。

 鬼に惑わされること無く、3時間の間じっと、座禅を組み続けること。

 ああ、そうそう。言い忘れておった。雪さん――柊さんも、『私が晴さんを連れてきたのだから、晴さん一人で試験を受けさせるのは不義。同じように受けさせていただきたい』と言うから、そこに座っておる。

 じゃが、声をかけてはならんぞ。ただただ座禅、それだけに専念するようにな」

「はい」

 晴奈は一瞬、柊の方をチラリと見る。柊はすでに、目をつぶって座禅に入っていた。

「それでは、わしが間を離れてから、もう一度入ってくるまで。

 一意専心――ひたすら、座禅を通しなさい」

 そう言って重蔵は晴奈たちから離れ、堂の戸を閉める――その直前に振り返り、一言付け加えた。

「おお、そうそう。ちなみにこの場所、『伏鬼心克堂』と言うんじゃ」

 

 伏鬼心克堂に残された晴奈はともかく、座禅を組んでじっとすることにした。

(ふくき、しんこくどう?)

 重蔵が残したその言葉を、晴奈は心の中で何度も読み返す。

(鬼が潜んでいるから、伏鬼かな。心克って言うのは、克己心――自己を高める心のことだろうな、きっと。

 つまり、鬼に負けないで、精神修養しろってことかな……?)

 色々考えているうちに、何の刺激も無いためか――少し、うとうとし始めた。

(ん……。あ、危ない危ない。ちょっと、眠りそうになった。

 ダメダメ、ちゃんと座禅しないと。もし重蔵先生に見られていたら、怒られちゃうかも)

 慌てて、目を開く。その直後、とす、と言う音が、背後から聞こえた。

(……足音?)

 とす、とすと、晴奈の背後で音が響く。思わず振り返りそうになったが、晴奈は心の中で、自分を戒める。

(ダメダメ、座禅、座禅を組まないと!)

 その間もずっと、とすとす歩く音が聞こえてくる。ゆったり歩いているらしい、軽い足音である。

(……もしかして、これが『鬼』? 何だか、猫か兎みたいに、軽い足音。もしかしたら、子鬼かな?)

 そう思った瞬間、子供の笑う声が、ほんのかすかに聞こえてきた。

(あ、やっぱり子鬼なんだ。……鬼でも、子供は可愛げがあるんだなぁ。

 これがもし、大人の鬼だったら、きっと足音なんて、『とすとす』みたいなもんじゃないんだろうな)

 晴奈は少し、笑いそうになったが、何とかそれをこらえようとした。

 だが、笑いは自然と消えた――笑っていられなくなったのだ。

 

 突然、地面が揺れた。座禅を組んでいた自分の体が――13歳にしてはわりと背が高く、体重もそれ相応にあるはずだが――一瞬、浮かぶほどの揺れだった。

(きゃあっ!? じ、地震!?)

 叫びそうになったが、先ほどまで笑いをこらえていたこともあって、何とか漏らさずに済んだ。目をつぶって、無理矢理心を落ち着かせ、冷静に何が起こったか、予想してみる。

(地震じゃ、無い、よね。外、騒いでないみたいだし――もしかしたら、地震くらいじゃ剣士たちって、騒いだりしないのかも、しれないけど――一瞬で止んだ。

 もしかして、もしかしたら……、大人の、鬼?)

 その想像に、思わず晴奈はぶるっと震える。

(いや、いや……、そんなわけ、無いじゃない! さっきまで、いなかったんだから!

 ……で、でも。子鬼、は、最初いなかった。どこかから姿を現した、から、いるわけで。とすると、その……、鬼も、入ってきたのかな?)

 そう考えた瞬間、また地面が揺れ、体が浮き上がった。ずしん、と言う重く大きな音が、晴奈の猫耳を震わせた。

(ひっ……!)

 心の中で叫ぶ。ずっと黙っていたせいか、実際に声を出すまでには至らなかった。晴奈は鬼に怯えながらも、心の中で繰り返し唱える。

(だ、だ、だ、大丈夫、大丈夫だって! もし襲うなら、背後でウロウロしたりなんか、しないじゃない! とっくに襲って来ているはず! だから、きっと、多分、大丈夫な、はず!

 も、も、もし、万が一襲ってきても、柊さんが横にいるんだし、きっと守ってくれる! だから、ほら、心を落ち着けて! ちゃんと座禅を、組まないと!)

 先ほど揺れた時と同様、無理矢理に心を落ち着かせようとするが、恐怖の広がった心は、恐ろしい想像ばかり浮かばせていく。

(……でも、鬼に人間が勝てるの? いくら柊さんでも、殺されちゃうんじゃ……!?)

 自分のあらぬ想像を、晴奈は全力で否定しようとした。

(そ、そんなわけ無い! 無いの! だって、ほら、横には、ちゃんと……)

 そこで晴奈は目を開けて、横目で柊の姿を確認し、自分を安心させようとした。

 

 だが、その光景に今度こそ、叫びそうになった。

 柊が、血を流して倒れている。座禅を組んだまま、横になっている。だが、向けられた背中に、いかにも鬼が持っていそうな棍棒が、無残に食い込んでいる。そこからドクドクと血が吹き出しており、絶命していると直感した。

(い、……嫌あああぁぁぁッ!)

 恐怖で凍りつき、叫んだつもりののどからは、悲鳴は漏れなかった。先ほどからずっと黙ったままの晴奈は、のどを押さえて震えだす。

(あ、あああ、柊さん、柊さん……!?)

 恐怖が頂点に達し、晴奈は現状を呪い始めた。

(何で、何でこんなことに……! ああ、私が、試験を受けるなんて言ったから、柊さんが死んじゃったんだ!

 私の、私のせいだ! 私が、ここに入ったから、柊さんも、一緒に入って、だから、死んで……。

 ……え?)

 恐怖による混乱の渦中にある晴奈はここで、ある矛盾に気が付いた。

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