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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・遭賢録 4

晴奈の話、49話目。
賢者の名前と、何かのフラグ。

4.

 8日ぶりに戻ってきた晴奈を見て、柊は安堵のため息を漏らした。

「良かった……! 晴奈、無事に戻ってきたのね」

「はい。ご心配を、おかけいたしました」

 晴奈は深々と、頭を下げた。その様子を見た柊は、晴奈の変化をすぐに感じ取った。

「ん? 晴奈、何かあった?」

「……いえ。特に、何も」

 

 紅蓮塞に戻ってからすぐ、晴奈は精神修養を積むことにした。刀を振るうこともせず、黙々と座禅を組む晴奈の姿に、柊は不安そうな顔を重蔵に見せていた。

「大丈夫でしょうか、晴奈は」

「んー、まあ」

 重蔵はぷい、と晴奈から顔を背け、腕を後ろに組んでこう言った。

「ここしばらく浮ついておった心が、程よく落ち着いたのは確かじゃ。悪いことでは無い。放っておいても、問題は無いじゃろ」

 重蔵の言葉に、柊も「そうですね……」とうなずく。

「ま、無事に帰ってきて何よりじゃ」

 

 

 

 戻ってから一週間ほど経ち、晴奈はすっかり元のように、稽古に姿を見せていた。

(あのエルフの言う通り、私は確かに愚かだったかも知れぬ。気ばかり焦って、とんでもない失態を犯すところだった。今一度、修行のやり直しだ)

 そんな風に考え、黙々と木刀を振るっていたところに――。

「知ってるか? 『旅の賢者』の話」

「何だそりゃ」

 門下生たちの話し声が聞こえてきた。あまり長くなるようであれば諌めようかと考えていたのだが、その内容を聞くうち、晴奈は目を丸くした。

「何でも、旅人の前に現れて、色々ためになることを教えてくれるって言う、変な奴らしいんだけどな」

「うさんくせぇー」

「友達から聞いたんだけど、この前黒荘に現れたんだってさ」

「へー」

(こ、黒荘?)

 叱るのも忘れ、晴奈は話に耳を傾ける。

「何でも、ウチの人間ともめたんだって」

「ホントかよー」

「見た奴がいるとか、いないとか」

「いなきゃうわさにならねーよ」

「そりゃそうだ、ははは……」

(……汗顔の至りだ)

 修行によるものとは別の、ひやりとした汗が額に浮き出てくる。

「もし、お主ら」

「あ、先生」

 門下生たちはしまったと言う顔をしたが、晴奈は諌めようとせず、逆に話を聞こうとした。

「その、旅の賢者の話、詳しく聞かせてくれないか?

 いや、単に興味があるだけなのだが。別に気になるとかでは、無いのだが」

「はあ? えー、まあ、話せと仰るなら」

 門下生もうわさに聞いた程度であるらしく、説明はたどたどしいものだった。

「まー、何て言うか、めちゃくちゃ長生きな奴だそうで、あの『黒い悪魔』と同じくらいか、下手するとそれ以上生きてるとか、何とか。

 世界中を旅してて、そいつに出会った歴史上の有名人は、何人もいるらしいですよ。まあ、俺も良く知らないんですが。

 で、確か名前が、……何だっけなぁ? 外国っぽい名前で、えーと、確かー」

 門下生はしばらく記憶を探った後、手を叩いて叫んだ。

「そうそう! モール、でした。『旅の賢者』モール。それが、そいつの呼び名ですよ」

「ふむ、モール、か。そうか……」

 晴奈はそれを聞くと、門下生たちの前から立ち去った。

「……怒られると思ったんだけど。どうしたんだろう、黄先生?」

「さあ?」

 残された門下生2人は、きょとんとした顔を見合わせていた。

 

(そうか、モールと言うのか)

 モールの憎たらしく、ふてぶてしい態度と言葉を思い出し、晴奈はほんの少し、イラつきを覚える。

(まったく、情けない。今一度、気を引き締めないと)

 自分のふがいなさを改めようと、ぐっと拳を握ったところで――。

「あ、姉さん」

 目の前を良太が通りかかる。

「お、良太。稽古はどうした?」

「さっき終わりました。姉さんもですか?」

「ああ。一風呂浴びてから飯でもと思っていたが、一緒に食べるか?」

「ええ。……あの、姉さん」

 にこやかだった良太の顔に、困ったような顔色が浮かぶ。

「ん?」

「ちょっと、お話があるんです……、が。良かったらちょっと、書庫まで」

「……?」

 良太の様子が気になり、晴奈は何も言わずに付いていく。書庫に着くなり、良太は中に誰もいないことを確かめ、扉を閉める。

「どうした? 妙だぞ、良太」

「ええ、まあ、その。あんまり、他の人に聞かれたくなくって」

 良太はもう一度、辺りを見回す。

「えー……、その」

 良太の顔が赤くなってくる。晴奈はなぜか、身構えてしまう。

「何だ?」

 良太は一歩晴奈に近付き、ぼそっと一言発した。

「実は、あの……」

 

蒼天剣・遭賢録 終

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