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1.
黒炎の襲撃から、2日後。
晴奈は橘と再会し、その間に得た良太や柊についての情報を交換していた。
「なんと。師匠も、良太のことを?」
橘の言葉に、晴奈は目を丸くした。
「そうなのよ。だから、両思いなんだけどねー」
「ふむ……」
今度は橘が聞き返す。
「で、良太くんはどうなの? 元気が無い、って言ったけど」
「ええ。この前の襲撃の際、自信を喪失したらしくて」
「ふーん……。そっか、それなら」
橘はあごに指を当て、考える様子を見せた。
「今、告白させちゃおうかな」
「え!?」
「今ならさ、二人とも素直だし。とりあえず本人たちがつながらなきゃ、何にも始まらないわけだし。
……晴奈ちゃん、今年はなかなか熱くなりそうよ~」
そう言って橘は、一際イタズラっぽく笑った。
「まだ塞内の修繕作業が終わっていないし、今日の稽古は無しだ。また書庫にでも行こうか、良太」
晴奈は良太を書庫に誘ったが、良太は浮かない顔で首を振る。
「いえ、今日は……」
「えっ」
晴奈の反応に、良太は不思議そうな顔をする。
「な、何ですか? 行かないと、ダメですか?」
「え、あ、いや、その、えーと」
「すみませんが、今日はこれで……」「ま、待てっ!」
慌てた晴奈は、良太の腕をつかむ。
「待て、って……。何でそんなに慌ててるんですか?」
「い、いや、そのな。本を探したいのだが、見つからなくて。良太なら知っているのでは無いかと、うん、そうなんだ。一緒に本、探してくれないか?」
「……まあ、そう言うことなら」
何とか誘うことに成功し、晴奈はほっと胸を撫で下ろす。
(良かった。何とか連れて行けそうだ)
一方、こちらは柊と橘。私室で読書していた柊を、橘が誘おうとしていた。
「ねえ、聞いたんだけどさ。ココに、書庫あるんだよね?」
「ええ、あるけれど。どうかしたの?」
「いっぺん見て見たいなーって。ねえ、連れて行ってくれる?」
柊は一瞬いぶかしげな表情を、橘に向ける。
「何か企んでるでしょ?」
「う」
「やっぱり。そんな気、したもの。行かないわよ」
橘は笑って、正直に話した。
「まあ、企んでるって言ってもね。良太くん、呼んでるのよ」
「え!?」
途端に、柊が反応する。
「もう待たせてあるから。ね、行きましょ?」
「……おせっかいよ、小鈴」
柊は首を振り、立とうとしない。橘も、引こうとしない。
「おせっかいでも、何でもさぁ。アンタ、自分から行く度胸あるの?」
「……」
「今までみたいに、何かと理由をつけてごまかす気?」
「そんなこと……!」
反論しかけた柊の手を、橘はぐいっと引っ張る。
「なら、今こそガツンと行きなさいよ。待ってるわよ、あの子も」
「……」
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