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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・立志録 4

晴奈の話、4話目。



魔法剣って言うと、いかにも欧風な感じがありますが。
これを和風にしてみたら、どうなるかなーと。

で、こうなりました。
ご覧ください(*゚ー゚)ノ


4.

 2日歩き通し、晴奈はようやく、街道を進んでいた柊に追いついた。

「……!?」

 あちこち土で汚れ、擦り傷だらけになった晴奈に会い、柊はとても驚いていた。

「晴奈ちゃん、なの?」

「はい。柊さん、私を、……弟子に、してください!」

 晴奈はいきなり柊の前に座り込み、深々と頭を下げた。

「ちょ、ちょっと、晴奈ちゃん。あの、困るわ。私も、修行中の身だから」

「お願いします!」

「いや、あの、うーん……。あ、そうだ、お家の方と相談して……」「縁を、切りました」「え!?」

 晴奈の言動に、柊は目を丸くし、言葉を失ってしまった。

 

 

 

 柊は何とか説得しようとしたが、結局、晴奈の熱意と意気込みが伝わり、「私も修行中の身であるし、私が稽古を付けることはできない。ともかく、私の師匠の所へ行きましょう。その人なら、十分晴奈ちゃんが納得するように、修行を付けてくれる」と柊に説得され、晴奈はそれを呑んだ。

 そして2人で街道を南へ下り、1週間後――2人は岩山に建つ、巨大な館の前に立っていた。

「ここが、私の属する剣術一派、焔流の総本山であり、央南各地の剣士が修行の場にしている場所――通称『紅蓮塞』よ」

「ここ、が……」

 その建物を見上げ、晴奈は思わず息を呑む。建物全体から、ビリビリと迫力が伝わってくる。そこはまさに、霊場と言っても、過言ではなかった。

「さ、入るわよ」

「あ、は、はい!」

 雰囲気に圧倒されながらも、晴奈は勇気を奮い立たせて、柊に付いていった。

 紅蓮塞の中には修行場があちこちにあり、どこを見ても剣士たちがたむろしている。何年もここで修行をしていた柊は動じていないが、初めて入った晴奈は、不安でたまらなかった。

「あ、あの……」「ん?」「……いえ、何でも」

 だが、その不安を口にすれば、最初は柊に反対されていたのだから、「やっぱり無理よ」と言われ、引き返してしまうかもしれない。じっと黙って、柊の後を付いていった。

 やがて、柊は大きな扉の前で立ち止まり、晴奈に振り返った。

「ここが、私の師匠――現焔流の家元、焔重蔵先生のお部屋よ。気さくな方だけど、礼儀には厳しいから、気を付けてね」

「はい……」

 柊は少し間を置き、すっと扉を開いた。

 

 部屋の奥で、人間の老人が正座して、本を読んでいた。

「ん……?」

 柊たちに気付き、老人は眼鏡を外して顔を上げる。一見、ただの好々爺のようだが、目が合った瞬間、晴奈はダラダラと冷や汗を流した。

(『熱い』……!?

 何だろう、この人――まるで、燃え盛る炎が、すぐ近くにあるみたい)

「おお、久しぶりじゃな、雪さん」

「ご無沙汰しておりました、家元」

 柊は深々と頭を下げ、師匠、重蔵に挨拶した。重蔵は座ったまま、ニコリと笑って応える。

「おう、おう、そんな大仰にせんでもいい。……ところで、その『猫』のお嬢さんは?」

「はあ、実は……」

 柊は重蔵に、晴奈が焔流に入門したい旨を告げた。すると重蔵は、何も言わず、あごを撫でながら空を見つめている。

「ふむ……」

「どうでしょうか、家元」

「まあ、そうじゃな。まずは、試験を受けさせて見なければ、何とも言えんなぁ。何をおいても、まず資質が無ければ、うちの剣術を身に付けることは、できんからのう」

 そう言って、重蔵はすっと立ち上がり、背後に飾っていた刀を手に取った。

「まあ、魔力が高いと言われておる『猫』さんじゃったら、その資質も、申し分は無いじゃろうけども――これは、最初に言っておかなければのう」

 重蔵はそこで言葉を切り、柊と晴奈を手招きした。2人は部屋の真ん中に座り、重蔵をじっと見る。

「うちの流派は、その名も『焔流剣術』――読んで字のごとく、焔、つまり火を操る剣術なのじゃ。……このように、な」

 重蔵の構えた刀の切っ先に、ポン、と火が灯った。

「……!?」

 晴奈は声も出せないほど驚いた。灯った火はそのまま、するすると刀を走っていき、刀全体が火に包まれる。そのまま重蔵は、上段に剣を構え、振り下ろした。

「やあッ!」

 振り下ろされた刀から火が飛び、そのまま床を走る。ジュッと床が焦げる音がし、壁際まで火が走り、燃え広がることも無く、すぐに消えた。

「あ……、あ……」

「これこそが焔流剣術の真髄――刀に火を灯し、剣閃に炎を乗せ、敵を焼く。もちろん、本来の剣術の腕も、不可欠。

 剣を極め、焔を極める。晴さん、君にその覚悟は、あるかな?」

 重蔵は刀を納め、晴奈に笑いかけながら問いかける。晴奈は黙ったまま、コクリとうなずいた。

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