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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・縁故録 4

晴奈の話、10話目。
縁故録、終了。




次回の投稿は、どちらにしようかなー。
1.環屋の続き。
2.蒼天剣の続き。
3.まったく別の話。

コメントにて投票、お願いします。
4.

 晴奈の戦いぶりを見せられた紫明は、呆然としている。

「あ、の……、父上?」

「……」

 晴奈が呼びかけても、反応が無い。

「父上」

「……」

「……お、お父様」

「……あ」

 ようやく我に返り、紫明は娘の顔をじっと見つめた。

「何だか、魂を抜かれた気分だ。まさか、あれほど苛烈な戦い方を、お前がするとは」

「あれが、私の求める道なのです。私はもっと、もっと、道を進んで、極めて行きたいのです」

「……そうか」

 紫明は背を向け、しばらくそのまま、じっとしていた。

 

 次の日、紫明は紅蓮塞を発った。晴奈を説得するのは、諦めたらしい。

「まあ、その……もしも、家が恋しくなったら、帰ってきておくれ。母さんも、明奈も、心配しているからな」

「はい……」

 最初に会った時とは随分違う雰囲気の中、黄親子は別れの挨拶をしていた。

「それじゃ、……元気でな。風邪、引いたりするんじゃないぞ」

「はい……」

 紫明はそう言って、紅蓮塞の門に進む。そして門を出る瞬間、ぽつりとつぶやいた。

「応援、するからな」

「……ありがとう、ございます、父上」

 晴奈は涙が出そうになるのを、深いお辞儀でごまかした。

 

 

 

 その一月後。

「応援する……って、こう言うことだったのか……」

 晴奈と柊、重蔵の前には、山のような金貨と、食糧が積んであった。送り主は、紫明から。一緒に送られてきた手紙には、「晴奈の健康と上達を願って 黄水産、黄金融、他黄商会一同及び、総帥・黄紫明より」としたためられている。

「ん、まあ、お父さんの、愛じゃと思って、のう、雪さん?」

「は、はは……、そうですねぇ、はい」

 晴奈は顔を真っ赤にして、頭と猫耳をクシャクシャとかき乱しながら、尻尾をいからせて叫んだ。

「恥ずかしいことをするなッ、この、クソ親父ーッ!」

 

 こうは言ったものの、後に晴奈は、生まれ故郷、黄海に戻るようになった。家とのわだかまりも消え、彼女の人生はその名の通り、晴れ渡り、明るくなったように思えた。

 ところがこの翌年、双月暦508年――彼女に不幸が襲い掛かるとは、この時誰も、予想もできなかったのである。


蒼天剣・縁故録 終

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