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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・琴線録 3

晴奈の話、60話目。
あの建物の、裏の顔。
 
 
 

3.
床に置かれた鍵を見つめたまま、良太が尋ねる。

「他に、倉ってありましたっけ?」

 同じように、鍵を睨んだまま晴奈が答える。

「私の知る限り、無いな」

「……本当に、これにはまる鍵があるんでしょうか?」

「まさか、家元が嘘をついたとでも?」

「そうは言ってませんけど、でも……。鍵が合う箱が、無いんじゃ」

 良太の言葉に、晴奈もうなるしかない。

「うーむ」

「……待てよ?」

 その時、良太は自分の言葉であることを思いついた。

「どうした?」

「鍵、って言っても、かけるものって一杯ありますよね」

「……?」

 良太は鍵をつかみ、立ち上がる。

「ほら、机とか、金庫とか、……他には、扉とか」

 

 良太の意見に従い、晴奈たちは次に、鍵のかけられた扉を探すことにした。

「まあ、考えてみれば確かに、箱に使う鍵、とは言っていないな。どこか、開かずの間になっている部屋の鍵かも知れぬ」

「でしょ? ……それに、『倉を探し終わっても無かったから、おじい様の勘違いだった』って口実も作れるし、雪乃さんにこれ以上付き合わせなくて済みます」

「それも、そうだな。一時はどうなることかと思ったが」

 二人は同時に安堵のため息を漏らしつつ、捜索を続けた。

 だが、その二人の陰で。

(何なの……? わたしに、これ以上付き合わせなくて済む、って。

 ……わたし、除け者? ま、まさか良太、この前怒ったことでわたしを嫌いになって、晴奈と……!? ダメ、そんなの!)

 柊がハラハラしながら、二人を尾行していた。

 

 隠れている柊に気付かないまま、晴奈たちはあちこちにある扉に、鍵をはめてみる。

「……入らない」

「ここも、違うみたいですね」

 扉の方もすでに2棟ほど当たっているが、依然見つかる気配が無い。二人は軽くため息をつきながらも、次の修行場に向かうことにした。

「えっと、次は……」

「心克堂だ。ここは、飛ばそう」

「え?」

 良太は何か引っかかるものを感じ、反対する。

「いや、ここも行ってみた方がいいんじゃないですか?」

「何故だ? この中は私も入ったし、お前も中は知っているだろう? 何も無いぞ」

「うーん、何て言うか、何だろう……、何か、気になるんですよ」

「はぁ?」

 要領を得ない意見に、晴奈は首を縦に振らない。

「その、うーん……、調べるだけ、調べてみませんか? そんなに時間、かかることでも無いですし」

「……そんなに言うなら、まあ」

 結局晴奈は折れ、伏鬼心克堂も当たることにした。歩きながら、良太は考えをまとめてみる。

「何て言うか、あそこは魔術がかかっているんですよね」

「ああ。入門試験は鬼を見せられ、免許皆伝の試験でもまた、別のものを見せられる」

「へぇ、卒業試験でもですか。まあ、それも含めて、あそこには何か、仕掛けが残ってるような気がするんですよ」

「そんなものかな……?」

 話しているうちに、二人は伏鬼心克堂の前に着いた。

(果たして、どうかな?)

 晴奈は鍵を、扉の鍵穴に当ててみる。すると、かちゃ、とわずかに音を立てて、鍵は鍵穴に入ってしまった。

「……!」

「あ、当たり?」

「ま、待て。……回してみないことには」

 手首をひねると、すんなり回る。そしてかち、と鍵穴から響き、扉は開いた。

「開きました、……ね」

「ああ。……開いたな」

 二人は一瞬顔を見合わせ、同時にうなずく。そして中に、足を踏み入れた。

 次の瞬間。二人の足から、接地感が消えた。

 

「わ、わあっ!?」

「穴!?」

 二人はそのまま、下へと落っこちた。晴奈は「猫」らしく、音も無く着地したが、良太は尻からどす、と地面にぶつかった。

「あ、あたた……」

「大丈夫か、良太?」

「ちょっと、痛いけど。大丈夫です」

 良太は晴奈に手を貸してもらいながら、よたよたと立ち上がる。

「何がなんだか……。お堂に、落とし穴?」

「と言うか、私たちが勝手に落っこちたようだな。ほら、はしごもついてる。どうやら、地下道のようだ」

「あ、本当だ」

 後ろを振り返ると、木のはしごがしっかりかかっている。二人は顔を見合わせて、苦笑した。

「はは……、やっちゃいましたね」

「ふふ、私としたことが。……ともかく、あの鍵でここに来れた、と言うことは」

「この先に、雪花さんの手がかりがある、ってことですね」

「そうだな。奥に行ってみよう」

 晴奈たちは地下道の先に、進むことにした。

「む……。少し、暗いな」

「あ、大丈夫ですよ。僕、雪乃さんにこう言う時に役立つ魔術、教えてもらいましたから」

「ほう」

「見ててくださいよー。……照らせ、『ライトボール』!」

 良太が手をかざすと、その手の先に光球がポン、と現れ――すぐ、消えた。

「あれ? おかしいなー……。 えい! ……えい!」

 何度やっても、光球は一瞬現れ、消えるのを繰り返す。見かねた晴奈は、良太に手を差し伸べる。

「……私の袖をつかんでいろ。私は『猫』だから、暗いところでも多少は目が利く」

「す、すみません」

 しゅんとする良太を見て、晴奈はまた苦笑した。

 

 地下道を歩いて間もなく、松明があるのを発見した。

「良太、火種はあるか?」

「あ、はい。確か、……ありました。はい」

 良太は持っていた火打石で、松明に火を点ける。辺りが照らされた瞬間、二人は息を呑んだ。

「お……?」

「こ、これ……!」

 壁中に、幾何学的な紋様が張り巡らされている。良太はその紋様をまじまじと見つめ、ポンと手を打った。

「これが、伏鬼心克堂の正体か……!」

「うん?」

「これ、全部『魔方陣』ですよ! めちゃくちゃ大量に描いてありますけど、多分全部、幻術関係のやつです」

 晴奈は意味が分からず、聞き返した。

「まほうじん、って何だ?」

「あ、えーとですね、簡単に言うと魔術を使いやすくするために、紙や壁に呪文を羅列するんですよ。で、言葉で唱えるよりもっと簡潔にするために、図形を用いたりするんです。

 鬼を見たりするのは、この幻術系の魔方陣が作動してたせいですね」

「ほう……」

 晴奈は何の気なしに、壁に触ろうとする。それを見た良太が、慌てて止める。

「あ、触っちゃダメです! 下手に触ったら、誤作動を起こしちゃいます!」

「お、おお?」

 良太の剣幕を見て、晴奈は手を引っ込めた。

「まずいか?」

「下手すると、魔力をとことんまで吸われて倒れちゃいますよ」

「なるほど、まずいな。……先に進もう」

 さらに奥へ進むと、扉があった。魔方陣も、そこで途切れている。

「……開けるぞ」

「はい」

 二人ともゴクリとのどを鳴らし、その扉に手をかける。扉はギシギシと音を立て、引っかかりつつも、開いた。

 中を覗くと、そこには――。

「……に、人間!?」

「いや、あれは……」

 人間と同じ大きさの人形が、小さな机の前で座っていた。

 

 人形は、どうやら木製であるらしい。松明のぼんやりとした灯りの下で見ると、本物の人間かと見紛うほど精巧にできている。深緑の着物を羽織り、央中風の小さな椅子に腰かけたその体は、今にも動き出しそうな雰囲気をかもし出している。

 そして、その顔は――。

「雪乃さん、そっくりだ」

「……机の上に、何か乗っている」

 晴奈はそっと手を伸ばし、机の上に乗っている本を取った。

「日記だ。持ち主はどうやら、……柊雪花」

「読んで、みますか?」

「ああ」

 晴奈と良太は地面に座り、日記を開いた。

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