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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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夜行、邪気、狐護扇

深草さんの話、13話目。
葛葉ちゃんサイドの話です。

ホラー、あんまり書きません。
と言うか、ファンタジー書いても、なぜかミステリーになってしまう作風orz
慣れないジャンルですが、こんな展開になったのも何かの縁。
最後まで書ききります。
応援、してくださると嬉しいです。

   夜行、邪気、狐護扇

 

 どう見ても、そこは神奈川――あたしの祖父の、会社の近所だ。

「あれ?」

 しかし、よく見てみると――何か、違う。あたしの知るその町は、寂れた工場が立ち並び、後は公園と駐車場しか無いようなところだったはずだ。だが、この場所にある工場は、夜でもなお、明かりが点いていて、あちこちで機械がうなっていた。公園や駐車場なんか、一つも無い。

「何か、違う」

「ちょっと、邪気を読んでみたんです」

「え?」

 相変わらず、深草さんの言うことは唐突で、何度も聞かないとマジで分からない。

「さっきの箱から、邪気を感じましてな。そこから読み取って、原因は『この辺り』やないかと読んで、来てみたんです」

 そう言うと深草さんは、どこかへと歩いていく。円ちゃんが慌てて付いていく。

「どこ行くのん?」

「それらしいとこ、探してみましょ。

 ……あ、はぐれんといてくださいね。迷ったらここ、出られまへんから」

 その言葉にぞくりと寒気を感じ、あたしも慌てて付いていった。

 

 

 

 どうやら、ここは現実の世界では無いらしかった。

 町のあちこちが、妙に暗く、黒い――まるで、その先には何も無いかのようだった。気になって、暗い道に向かって、小石を投げてみると、コツ、コツと2、3度跳ねた後、急にしんと――何かに吸い込まれたように、いきなり――静まり返った。

 やがて、深草さんはある神社の前で立ち止まり、「ここやわ」とつぶやいた。

「ここ? ……うん、それっぽいなぁ」

 円ちゃんも鳥居を見上げている――いつの間にか、2人には狐耳と尻尾が生えていた。

「何か、気味悪い……。邪気がプンプンやわ」

「ホンマにねぇ。これは、何か悪いもんいてても、おかしないわ」

 深草さんはそう返して、神社の奥へと進んでいく。あたしたちも一緒に、深草さんを追いかけた。

 

 邪気、と言うのが何なのか、正直なところ、あたしにはさっぱり分からない。でも確かに、神社に足を踏み入れた瞬間、異様な気色悪さがあたしを包んだ。

「ひ」

 思わず、声を漏らしてしまう。前を進んでいた円ちゃんが振り返り、心配そうに尋ねる。

「大丈夫、葛葉ちゃん?」

「あ、うん、大丈夫」

 円ちゃんはあたしの手をぎゅっと握り、優しく声をかけてくれた。

「辛くなったら言うてね。あんまり、無理したらアカンよ」

「うん、ありがと」

 円ちゃんに手を引かれながら、境内の近くまで来たところで、深草さんが足を止め、賽銭箱の辺りを指し示す。

「あれ……、やね」

 賽銭箱の前に、誰かがいた。どうやら、中年の……、おじさんのようだ。

 

 そのおじさんは、フラフラとよろめきつつ、賽銭箱の前に立っていた。どうやら、酔っているらしい。

「おお、ああ……」

 何かうめいているが、何と言っているのか良く分からない。

「うう、やだなぁ」

 思わず、あたしはうめいてしまう。酔っ払いは大嫌い。

「あー……、あれ、危ないわ」

 円ちゃんが頬に手を当て、不安そうにつぶやく。でもこれは、深草さんのような、あたしに分からないようなことに対しての言葉じゃないだろう。あたしも見ていて、「酔っ払いだから、何をするか分からなくて危ない」と言うタイプの危険さを感じていた。

 そしてあたしと円ちゃんの予想通り、おじさんは乱暴になり始めた。いきなり、賽銭箱を蹴り倒したのだ。

「ああ、アカン、アカンよぉ」

「ひどい、あの人……」

 あたしたちが騒ぐが、おじさんの耳には入らない。蹴り倒した賽銭箱をさらに蹴り、中に入っていたお賽銭を拾い始めた。……マジ、ひどくない?

「ちょっと、おじさん、やめなって」

 止めようと声をかけるが、おじさんは一向に収まらない。今度は壊れた賽銭箱を乗り越え、奥の本殿へと進む。戸を蹴破り、その中に入って――純真な女の子には言えないような乱暴と粗相を続け――そして一瞬、静かになった後、いびきが聞こえ始めた。

「ひどぉ……」

 円ちゃんが怒っているが、深草さんは始終、冷静に見ていた。

「ふむー……、ここから、みたいやね」

 深草さんが一言、そう告げたその時だった。

 どこからか、暗闇を切り裂くように、しゅっと金色の筋が走った。

 

「あ……」

 あれは、見たことがある。新幹線でまどろんでいた時、あたしの足元を走ったあの光だ。

「これは……、やってくれたのう」

 そして、あの時聞いた声も、聞こえてきた。

「随分、散らかしてくれたものじゃ」

 光は、本堂の中に入る。

「これ、男。起きよ」

「……」

「起きよ」

「……さい」

「うん?」

 いびきをかき、それまで眠っていたらしいおじさんが、いきなり大声で叫んだ。

「うるせえっ、どっか行け!」

「……ほ、う。わしに向かってそのような口を利くか」

「うるせえ、うるせえよ! 俺は社長だぞ、社長! 文句あんなら、かかって来いよ!」

 ああ、何だか――この後の展開、読めた。

 

 一瞬静かになった後、おじさんのうめき声が聞こえてきた。

「うぐ、ぐぐ」

「ほれ、どうした? 先ほどの威勢は、どうしたのじゃ?」

 光を怒らせたおじさんは、随分痛めつけられたらしい。もう、うめき声しか聞こえてこない。

「うう、うああ、助けてくれ」

「愚か者め! 寝床を汚して、あまつさえ無礼を吐き散らし、その上で許せじゃと!? 戯言も大概にせい!」

「何でも、何でもする、何でもやるから……」

 おじさん、ドンドン泥沼に行っちゃってるよ。そんなこと言ったら――。

「ほう、それならば気晴らしに――お前と、その一族をいただこうかのう」

 そう聞こえた後、光が壊れた賽銭箱の上に立った。

 光の正体は、狐だった。それも、普通の狐ではない。全身にギラギラと、気味の悪い光をまとった、尻尾が3本ある狐だった。

 

 おじさんの正体は、分かっていた――あたしの祖父、江野関夫氏だった。なるほど、こうして母も叔母さんも、祟られたわけか。

 でも、何で――今になって?

 

 

 

 気が付くと、あたしたちは元の場所――夕暮れの京都にいた。深草さんは店に戻る途中、両親を見た時のことと、扇子について話してくれた。

「ご両親をお見かけした時、お母さんの方に、妙な影が見えたんです。その時はただ、運気を悪しとるんやろなと思いまして、あの扇子――『狐護扇』をお渡ししたんです。

 これは、そう言ったもんを払う力のある、霊験あらたかなもんなんですけどね。ただちょっと、今回は相手が悪かったみたいですわ。悪どい言うても、向こうさん、曲がりなりにも神様やったようですから。10年ちょっと、持ってくれたみたいですけど、最近になって扇子に限界、来てしもたみたいですな。

 この件、うちの力だけでは、少し分が悪そうですわ――向こうさんをなだめたり、話をするのは、難しいと思います。せやから、助け、呼びますね」

 店に戻るなり、深草さんはどこかに電話をかけた。そして2、3分話し込んだ後、ニッコリと笑って、こう言ってくれた。

「頼りになる人に、連絡付きましたわ。すぐ、こっち来れるそうです」

 

夜行、邪気、狐護扇 終

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