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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・夢幻録 2

晴奈の話、65話目。
今回の晴奈、空気です。


2.
「夢みたい……」

 宿場街と修行場の境にある催事場の3階、新婦控え室。白無垢の装束を羽織った雪乃が、側にいた晴奈につぶやいた。

「わたしの、結婚」

「大丈夫です。夢ではありません」

 晴奈も普段の道着姿とは違い、振袖を着ている。

「……そうね、ふふ」

 髪をとかしてもらいながら、雪乃は幸せそうに笑っている。

「ところで、……師匠」

「ん?」

「今後は、どうされるのですか?」

 晴奈はためらいつつも、雪乃の今後について尋ねる。

「刀は、置かないわ。それは確か」

「そうですか」

 てっきり、結婚を機に剣士の道を降りてしまうのではと危惧していたので、晴奈は内心、ほっとため息をついた。

「あら、やめちゃうと思ってた?」

「えっ」

 だが、晴奈の内心は見透かされていたらしい。動揺する晴奈を見て、雪乃はクスクス笑う。

「剣士の道は、わたしの人生そのものだもの。それを捨てたら、わたしと言う人間が一気に、ぼやけてしまいそうだから」

「……そうですね。私も、刀を置いた師匠と言うのは想像もつきません」

「あら、わたしはそんなに無骨な女かしら?」

 いじわるっぽく笑う師匠に、晴奈は困った顔で笑い返した。

「はは……、そんなこと、ないです。私にとって師匠は、理想の女性です」

「あら、ありがと」

 身だしなみが整った雪乃は化粧台から立ち上がり、窓の外を見た。

「……わたしたちのために、こんなに人が集まってくれるなんて」

 眼下に広がる宿場街と、そこにある人だかりに、雪乃は小さく、頭を下げた。

 

 一方、良太は。

「じゃからな、夫婦と言うものは、すべからく……」

「は、はあ」

 式に浮かれ、酔っ払った重蔵の、20周目に入った話を、困った顔で聞いていた。

 

 

 

「うーん」

 細道を何度見回しても、先ほどの女性は見つからなかった。

「絶対、雪乃だと思ったんだけどなー」

 完全に見失ったため、諦めて大通りに戻ろうとした、その時。

「はー、ここなら落ち着いて歩ける」

「本当に、大騒ぎになってしまいましたからね」

 大通りからバタバタと、人が入ってきた。あごひげの男と、白狐の女。その子供と、茶縞虎の青年。

「おまんじゅう、もうないの?」

 「狐」の女の子が指をくわえながら尋ねている。

「こら、指をくわえてはいけませんよ。……ごめんなさいね、あの騒ぎで落してしまったみたいなの」

「えー」

 無いと言われてもなお、子供はねだる。

「たべたいー」

「あんまり無理を言っては行けませんよ、桃。もう少し騒ぎが収まってから、また買いに行きましょう」

「……たべたいのー」

 まだぐずっている子供を見て、橘は思わず自分が買っていたまんじゅうを差し出した。

「あの、良かったらどうぞ」

「あら、いえいえ、お構いなく」

 母親らしき女性が上品に遠慮してきたが、橘自身も甘すぎるまんじゅうはこれ以上、食べる気にならない。

「いえ、あたしももう、お腹が一杯で。どうぞ、いただいてください」

「そうですか? それじゃ、ありがたく……」

 母親がまんじゅうを受け取り、父親に背負われている子供に食べさせた。

「おいしー。ありがと、おねえちゃん」

「いいのよいいのよ、美味しく食べてちょうだい」

 

 大通りの騒ぎはまだ落ち着きそうになく、橘たち五人は細道を進んで催事場に向かうことにした。

「じゃあみんな、雪乃の知り合いなのね?」

 全員が雪乃の関係者と知り、橘は少し驚く。

「ええ、柊先生には大恩があります」

 柏木は深々とうなずく。続いて謙が思い出を語る。

「雪乃とは俺が若い頃、一緒に修行してたんだ。んで、小鈴さんはどんな関係で?」

「あたしは旅の仲間。昔から良く、あっちこっち旅してたの」

 橘の話を聞き、謙は合点が行ったようにうなずく。

「あー、そういやちょくちょく姿を見せなかったこと、あったなー」

 と、こんな風に雪乃の思い出話を語っていると――。

「……!」

「ん? どうかしたんですか、橘さん」

 柏木が、橘の様子に気付く。

「やっぱり、いた!」

 突然、橘が走り出した。
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