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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・魔剣録 4

晴奈の話、99話目。
一方その頃、敵方は。
 
 
 

4.
某所、天原の隠れ家。

「災難でしたね、アマハラ君」

「ええ、本当に。まったく焔流には、ほとほと手を焼かされますよ」

 事情を聞きつけたワルラス卿が、天原の元を訪ねていた。

「まあまあ、アマハラ君。それを言っては、シノハラ君たちに悪い」

「おっと、そうでした。では言い換えて……、『旧』焔流には、ほとほと手を焼かされる、と」

「はは……」

 天原はぱた、と手を叩き、茶を持って来させる。

「黒茶を」

「ただいまお持ちいたします」

 手を叩いてすぐに、黒頭巾をした女性――頭巾の端から猫耳が見えている――が、茶器と椀を持って現れた。

「おお、早かった。いつもながら準備がよろしいですね、竹田くんも、皆さんも」

「殿のご用命に、いつでも応えられるようにと」

「ほう……」

 猫獣人、竹田の言葉に、ワルラスは感心した声をあげる。

「いい部下をお持ちですね、アマハラ君は。部下と言う者はすべからく、こう言う出来る人間を持ちたいものです。私の甥などは本当に、愚物でして」

「ああ、ウィルバーくんですか。おうわさは、かねがね……。現在は央南西部の侵攻……、おっと、教化に当たっているとか」

「ええ、そうです。しかし、まあ……、アマハラ君も知っているでしょうが、あの二人の奸計にいつも絡め取られて、毎度毎度敗走、失敗すると言う体たらくでして」

 憎々しげに首を振るワルラスを見て、天原は小さくうなずく。

「ああ、黄とグラッドですか。確かにあの二人は曲者ですねぇ。……そうだ、こんなのはどうでしょうか?」

「うん?」

「私も聖下も、いくつか共通の悩みと、目標を持っています。黄とグラッドに手を焼き、央南西部、及び中部の教化にてこずっている。

 しかしですね、悩みと言うのは似通ったものが二つ合わされば、逆に転機となるのですよ」

「ふむ……?」

 天原は手をさすりつつ、ワルラスに献策する。

「あの二人を狙えば、その目標は達せられます。幸いにも我々には、多くの手駒がある。そしてもう一つ、『足』もあります。これに聖下の頭脳を加えれば、どんな街も紙細工も同然。あっという間に攻め落とし、黒く染められましょう」

「なるほど、なるほど。私もそれには同感です。それにもう一つ、あのグラッドと言う男の思考にはある、弱点を見つけています。そこを突いた策で攻めれば、我々の目標も達せられるでしょう」

 黒い「狼」と白い「狐」は、同時にニタニタと笑った。

 

 一方その頃、篠原は座禅を組みながら、昔を思い返していた。

(あの『猫』は確かに俺より格下だった。だが、あの気迫は一流。……思い出す、昔俺が紅蓮塞にいた時のことを。

 すでに家元は壮年も過ぎ、老境に達しようかと言う歳だった。体も痩せ、どう見ても苦戦する相手では無かった。瞬二も英心も確かに手強かったが、奴らは一太刀、二太刀であっさり沈んだ。俺は三人ともまるきり、敵とは見なしてはいなかった。

 だが……! 家元、焔重蔵だけは違っていた。俺の刀を4太刀浴びてなお、倒れるどころか向かってきた。確かに瞬二や英心よりは軽い怪我であっただろう。だが、それを差し引いても、あの二人とはまるで、質が違う。

 凡庸な奴らであれば、一太刀入れられれば怯み、退く。それが英心たちの敗因だった。逃げれば逃げるほど、面白いようにこちらの太刀は奴らの体に食い込み、半端に立ち向かうよりも深手を負う。

 だが家元は違った。どれだけ太刀を入れられようと、退かぬ。決死の覚悟を持って、踏み込んでくる。死をも省みず、攻め入ってくるあの気迫――負けたのは、奴よりはるかに強健な肉体と技量を持っていたはずの、俺だった。

 俺は『強い奴』など恐れん。本当に恐ろしきは『退かぬ奴』だ。退かぬ奴に俺の『魔剣』は通じない。それどころか俺の予想を上回る立ち回りで圧倒し、俺を恐れさせ……っ)

 重蔵の鬼気迫る顔を思い出し、篠原の胃は凍ったように絞めつけられる。

「う、ぐ……」

 篠原は腹を押さえ、その痛みをこらえる。手を当てているうちに痛みは和らぎ、篠原は額に浮いた汗を拭った。

(あれからもう、何年も経ったと言うのに)

 篠原は上を脱ぎ、自分の裸を見る。

(この傷はなお、俺を捕らえ、痛め続けている)

 篠原の胸から腹全体にかけて、ひどい火傷と刀傷の痕が残っている。篠原は立ち上がり、己の中で膨れ上がる激情をこらえきれず、叫んだ。

「この傷が癒えぬ限り、俺は本家を敵と見なす!

 見ていろ、重蔵……! お前の門下にいる者はみな、血祭りに上げてくれるぞ!」

 

蒼天剣・魔剣録 終

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