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5.
一夜、明けて。
島道場改め、楢崎道場では大掃除が行われていた。島が食い散らかし、飲み散らかしたものの後片付けと、島との死闘の、後始末である。
晴奈と柊も手伝い、道場は綺麗に片付けられた。
「これで、あいつのいた面影は無くなった、かな」
「本当に、ありがとうございました……! 本当に、何とお礼を言って良いか!」
柏木は声を震わせ、泣きながら柊に礼を言った。
「いいわよ、これしきのことで。わたしとしては、仇が討てただけで満足だから」
「いえ、そんな! 何かお礼をしなければ、剣士の名折れです!」
「そう? それ、じゃ……」
柊は所期の目的――晴奈の修行の相手を、柏木たち門下生に頼むことにした。
ついでに自分も修行に付き合い、本家焔流と楢崎派焔流の交流は、大いに盛り上がった。
1ヶ月ほど修行した後、晴奈たちは紅蓮塞に戻ることにした。
「後は、楢崎が戻れば万事、解決だけど……」
「そう、ですね。……きっと戻ってくると、信じています。それまでは私たちが、この道場を守ります」
1ヶ月の修行で、柏木は大分、たくましくなった。晴奈は柏木とがっちり握手し、別れを惜しんだ。
「きっと、戻ってきますよ。……それじゃ、お元気で」
「はい。黄さんも、お元気で」
紅蓮塞に戻る道の途上、柊はぽつりとつぶやいた。
「晴奈、強くなったわね」
「え?」
「島とやりあった時の、あの勢い。わたしと互角に張り合えるほどの、完成度だった。
……近いうち、わたしはあなたに、追い抜かれてしまうかもしれないわね」
晴奈は驚き、バタバタと手を振る。
「な、何を仰いますか! 私なんて、まだまだ……」
「ううん、謙遜しないで。きっとあなたは、わたしより強くなる。強くなって、くれるわ」
そう言った柊は、とても美しい笑顔をしていた。
「あなたが――わたしの弟子が、わたしより強くなるなら、それほど嬉しいことは無い。
頑張って、晴奈。あなたはもっと、強くなれる子よ」
蒼天剣・討仇録 終
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