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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・指導録 3

晴奈の話、35話目。
スポ根?


3.

 小屋に到着した晴奈たちはとりあえず、休憩に入った。到着した時点で良太がばてていたからである。

「す、すいま、せん」

「いいから。ともかく呼吸を整えろ」

「は、いー」

 晴奈は良太の呼吸が整うまでの短い間、夕べ柊と交わした会話を思い返していた。

 

 

 

「そう、良太がそんなことを……」

「任せていただいても、よろしいでしょうか?」

 話を聞いた柊は、腕を組んでうなる。

「そうねぇ、このままだと修行にならないし。……うん、お願いしようかな」

「ありがとうございます」

「お礼を言うのはわたしの方よ。

 ……まあ、重蔵先生からね、『こんなことを頼めるのは雪さんしかおらんでのぉ。どうか、あの子が将来困らんように指導してやってくれ』と言われたんだけど、その……。えっと、思った以上に、体力の無い子でね。いずれはわたしも、付きっきりで鍛えてやろうとは思っていたんだけど、……その、最近、ね、ちょっと、立て込んでいて」

 わずかに目をそらし、少し困ったような顔でつぶやく柊に、晴奈はドン、と自分の胸を叩く。

「お任せください、師匠。必ず、見違えるように鍛えてみせますよ」

「ええ、お願いね。……あ、そうそう」

 柊は晴奈の猫耳に口を寄せ、そっと囁いてきた。

「まあ、無いとは思うけど。油断しちゃダメよ」

「はぁ……? 何を、油断すると?」

「……無いわよね、どう考えても」

 

 

 

(任せてくれ、とは言ったものの)

 ようやく呼吸が落ち着き、汗を拭いている良太を見て、晴奈は少し心配になる。

(山登りでこれか。改めて思うが、なかなか苦労しそうだな)

 

「ほら、ばてるな! もっと根性見せろ!」

「は、はひ」

 まずは、持久力を付けるための走りこみ。やはり5分もしないうちに、走ると言うより歩くと言った方がいいような状態になったが、そこで晴奈が活を入れる。

「もっと足上げろッ!」

「は、いっ」

 後ろから声をぶつけ、足を動かせる。

「ほら、手も振れ! もっと息を吸え! 吐くより吸え!」

「はい、っ、ハァ、すぅー、ハァ」

「ほら、また足が上がってないぞ! 足上げろッ!」

 何度も足が止まりそうになっていたが、晴奈の活で何とか、30分走り通した。

 

「まだ40回も行ってない! もっと腕を振り上げろ!」

「は、ぁ……、はいっ」

 次は竹刀の素振り。汗だくになり、上半身裸になった良太に、晴奈がまた活を入れる。

「声が小さい!」

「はい、っ! 38! 39! 4、0! よんじゅう、いち! よん、じゅう、に! よんじゅう、さん、よ、ん、じゅー……」

「また腕が下がってる! 声出せ!」

「45ッ!」

 これもつきっきりで晴奈がしごき、何とか百回、素振りをやり通した。

 

「……」「……」

 打って変わって、今度は良太が得意としている精神修養の一環、座禅。

「……」「……」

 二人とも相手を見つめ合い、一言も発しない。

「……」「……」

 しごかれ、疲労困憊のはずの良太はまったく、眠たげな気配を見せない。

「……」「……」

 無論、晴奈も7年経験を積んでいるので、これしきのことで眠ったりはしない。

「……」「……」

 山のざわめきと互いの呼吸しか聞こえない小屋の中で、時間は刻々と経っていく。

 やがてカラスの鳴く声が聞こえてきた。

「……飯にしようか」「はい」

 

 

 

「精神力は、人並み以上だな。あれだけの時間をかけて、疲労を抱えていながら眠らずにおれるなど、そうそうできない」

「そうですか。ありがとうございます」

 二人並んで台所に立ち、食材を切りながら雑談する。

「体力も、声をかければかけるだけ、絞り出せる。まったく無い、と言うわけでも無さそうだ。この調子なら、毎日へこたれずに頑張れば着実に、鍛えられるだろう」

「本当ですか」

 良太の声が嬉しそうに、台所に響く。

「ああ。もう数日、山に篭って頑張ろうか」

「はいっ」

 

 食事も済み、日も落ちたので二人は眠ることにした。また明日、早朝から特訓である。

「本当に、今日はありがとうございました」

「『姉』の務めみたいなものだ。礼などいらぬ」

「はは、はい……」

 うとうとしかけたところに、良太が楽しそうに声をかけてきた。

「姉さん、かぁ。僕、兄弟がいないので、何だか嬉しいです」

「そうか。まあ、明日も頑張れ、『弟』よ」

「はい、姉さん」

 短い会話の後、二人ともすぐ、眠りに就いた。
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