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黄輪雑貨本店 別館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 その他頻繁に更新するもの、コメントをいただきたいものはこちらにアップさせていただきます。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

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蒼天剣・手本録 4

晴奈の話、23話目。
小旅行のはじまり。



ここで一つ、登場人物の生まれた年でも晒してみますか。
まず、手本録の舞台が「双月暦509年」です。
晴奈 :493年生まれ(現時点で16歳)
柊: 482年生まれ(同 27歳)
重蔵:441年生まれ(同 68歳)


4.

 その翌朝。柊と晴奈は、昨日の酒宴など無かったかのように、黙々と食事を取っていた。

「……」

「……」

 一足先に柊が食べ終え、茶をゆっくりと飲み始める。そして晴奈が食べ終わった時、口を開いた。

「どこに行こっか?」

「え?」

 何の話か分からず、晴奈が聞き返す。

「ほら、夕べ話してた、旅。さっと行って、さっと帰れるところがいいわよね」

「ああ……。その、どこが、いいでしょうか」

 地理に詳しくない晴奈は、そのまま聞き返す。

「んー、じゃあさ、央南の東なんか、どう? こことそれほど、勝手が違うことも無いし、途中に山とかも無いから、万一何かあってもすぐ戻れるし」

「ふむ……。では、それでお願いします」

 

 こんな感じで、晴奈は柊と共に央南東部へと旅に出た。「すぐに行って、帰ってこれる場所」と目的を定め、東の大都会――青江を目指すことになった。

「青江とは、どのような場所なのですか?」

「あなたの故郷、黄海と同じ港町よ。昔話も豊富で、退屈しない場所ね」

「ほう……」

 13の頃までほとんど、自分の住む街から出たことの無かった晴奈は、その話に心をときめかせた。

(黄海と、また別の港町……、か。楽しみだ)

「ふふ……」

 唐突に、柊が笑う。

「どうされました?」

「ん、ああ……」

 柊は楽しそうに微笑みかける。

「やっぱり旅は、一人より二人の方がいいなって」

「はあ……?」

「一人で旅することが多かったんだけど、こうして誰かと話をすること、あんまり無いから。……楽しい旅に、なりそうね」

「……はいっ」

 晴奈は力一杯うなずき、嬉しさと楽しさを表した。

 

蒼天剣・手本録 終

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