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4.
その翌朝。柊と晴奈は、昨日の酒宴など無かったかのように、黙々と食事を取っていた。
「……」
「……」
一足先に柊が食べ終え、茶をゆっくりと飲み始める。そして晴奈が食べ終わった時、口を開いた。
「どこに行こっか?」
「え?」
何の話か分からず、晴奈が聞き返す。
「ほら、夕べ話してた、旅。さっと行って、さっと帰れるところがいいわよね」
「ああ……。その、どこが、いいでしょうか」
地理に詳しくない晴奈は、そのまま聞き返す。
「んー、じゃあさ、央南の東なんか、どう? こことそれほど、勝手が違うことも無いし、途中に山とかも無いから、万一何かあってもすぐ戻れるし」
「ふむ……。では、それでお願いします」
こんな感じで、晴奈は柊と共に央南東部へと旅に出た。「すぐに行って、帰ってこれる場所」と目的を定め、東の大都会――青江を目指すことになった。
「青江とは、どのような場所なのですか?」
「あなたの故郷、黄海と同じ港町よ。昔話も豊富で、退屈しない場所ね」
「ほう……」
13の頃までほとんど、自分の住む街から出たことの無かった晴奈は、その話に心をときめかせた。
(黄海と、また別の港町……、か。楽しみだ)
「ふふ……」
唐突に、柊が笑う。
「どうされました?」
「ん、ああ……」
柊は楽しそうに微笑みかける。
「やっぱり旅は、一人より二人の方がいいなって」
「はあ……?」
「一人で旅することが多かったんだけど、こうして誰かと話をすること、あんまり無いから。……楽しい旅に、なりそうね」
「……はいっ」
晴奈は力一杯うなずき、嬉しさと楽しさを表した。
蒼天剣・手本録 終
12 | 2025/01 | 02 |
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